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『美しい星』(うつくしいほし)は、三島由紀夫の長編小説。三島文学の中では異色のSF的な空飛ぶ円盤や宇宙人を取り入れた作品で、執筆当時の東西冷戦時代の核兵器による人類滅亡の不安・世界終末観を背景に、宇宙的観点から見た人間の物語を描いている〔。作中後半の、人類滅亡を願う宇宙人と、滅亡の危機を救おうとする宇宙人との論戦が読みどころとなり、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の大審問官的会話を意識して書いたことが、三島の創作ノートに記されている〔「『美しい星』創作ノート」()〕。三島37歳、長男・威一郎が誕生した年の作品である。 1962年(昭和37年)、文芸雑誌『新潮』1月号から11月号に連載され、同年10月20日に新潮社より単行本刊行された。文庫版は新潮文庫で刊行されている。 == 作品成立・背景 == 1957年(昭和32年)頃からUFO観測に熱中していた三島由紀夫は、渡米した折にも調査したり、石原慎太郎・黛敏郎・星新一らも所属した「日本空飛ぶ円盤研究会」(JFSA)にも入会していた〔石川喬司「三島由紀夫とSF」(ユリイカ 1980年4月号に掲載)〕。同会員の北村小松と2人で自宅の屋上で円盤観測を実施することもあった〔(所収。)〕〔(所収。)〕。三島は「空飛ぶ円盤」観測から『美しい星』執筆に至ったきっかけを以下のように語っている。 そして、主題に関連する人物造型などについては、次にように説明している。 当初、作品の題名には、「銀河系の故郷」「銀河一族」「わが星雲」といったものが考えられていた〔。また、三島はドナルド・キーン宛ての書簡に、「これは実にへんてこりんな小説なのです。しかしこの十ヶ月、実にたのしんで書きました」と述べている〔三島由紀夫「ドナルド・キーンへの書簡」(1962年11月6日付)〕。村松剛によると、『美しい星』執筆の頃の三島は、「半ば宇宙人になりかかっていた」とされ、三島が〈狭山に今夜UFOが降りるのだ〉と言って、ヤッケをはおり水筒と双眼鏡などを持って深夜出かけて行ったという〔村松剛『三島由紀夫の世界』(新潮社、1990年)423頁〕。 ちなみに三島は、当時ブームになっていた推理小説に対しては全面否定し(エドガー・アラン・ポーだけは例外として)、「文学」とは認めていなかったが〔三島由紀夫「発射塔」(読売新聞 1960年7月6日-10月26日号に掲載)〕〔三島由紀夫「法律と文学」(東大緑会大会プログラム 1961年12月)〕、SF小説に関しては愛着を持ち、「近代ヒューマニズムを完全に克服する最初の文学はSFではないか」と考えていた〔三島由紀夫「一S・Fファンのわがままな希望」(宇宙塵 第71号・1963年9月号に掲載)(所収。)〕。また、SF小説を好きな理由は、「推理小説などとちがつて、それは大人の童話だからだ」と語っている〔三島由紀夫「こども部屋の三島由紀夫――ジャックと豆の木の壁画の下で」(女性明星 1962年12月・創刊号に掲載)(所収。)〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「美しい星 (三島由紀夫)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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